吃音 治療のために

吃音 治療の研究も時代の流れによって科学的且つ国際化してきた昨今、成人の吃音者は世界どこの国々にも人口の約1%という同じ割合で存在することが分かってきました。このことから吃音の原因は吃音者の心理面・精神面という心の問題ではなく『吃音者だけが持っている身体的問題(発声器官の筋肉が必要以上に過緊張を起こして硬くなる為スムーズに話せなくなる)が吃音者の発話時の心の変化によって起こされる』と考えられる様になってきました。

原因が心の問題ならば吃音者が世界中同じ割合で現れることなどなく、原因が身体的問題だからこそ同じ割合で存在するのです。吃音(どもり)が心の変化によって起こりますので「原因は心の問題」と錯覚し決めつけたくなりますが、発話という動作はあくまでも身体面での運動ですので、吃音とは生理学上の問題として考えるべきなのです。 今まで主流だったメンタル的なケアよりも、滑らかに話せる様にする「流暢性促進訓練(Fluency shaping therapy)」という言語面からのアプローチがアメリカ吃音協会・カナダ吃音協会では見直されて盛んとなり、着実に吃症状改善の効果を上げております。

この方法とは飛躍的に進歩した分子生理学のお陰で、たとえ吃音の原因が解明されなくても発声器官の筋肉を弛緩しながら吃らない発声状態をたくさん脳にフィードバック(発生源に戻して調整すること)させ、吃症状を起こさない新しい運動ネットワークを脳に造る為の訓練です。 脳は末梢からの刺激によって新しいネットワークを造るという脳の可塑(かそ)性・可変性を利用した俗に言うリハビリ、また学習でありネットワークがつながってくれば必ず吃症状は改善されてきますので、吃るが為に後から付いた心の問題も徐々に解決され益々良い循環が形成される訳です。

流暢性促進訓練法を考案し指導を始めた方々とは、吃るが為に持ってしまった吃音者の心理的・精神的問題を吃音の原因としてこじつけている様な人達ではなく、試行錯誤を続け実際に自分自身の吃音を直した欧米の吃音学者達です。 吃症状改善を実感するまでにはある程度の時間が必要となりますが、それは発声練習の反復によりまず脳に新しいネットワークを造らなければならないからです。 冷静にお考え下さればお分かりになると思いますが、吃音(どもり)が短期でまた簡単に治せるものなら、この世に吃音症で悩む人間など存在しないことでしょう。 逆に時間を掛けて造ったネットワークこそ簡単には壊れないものです。

吃音 治療に臨む第一歩は、俗説やこじつけを疑いもなく鵜呑みにせず、吃音 克服のために強い探求心を持ち吃音に関する正しい知識と冷静な判断を養うことです。 吃音の苦しみを味わい、そして「自由に話せることが如何に便利で楽しいことか!」を実感した私としては更に確実なる吃音の治療法を求め海外の会議や大会に参加したく思います。 以前NHKテレビで放送されましたカナダ吃音協会の海外ドキュメンタリーは、日本の大学病院でも言語聴覚士の方々が大いに参考にしております。

吃音について

言葉が発しにくい言語障害であり、非吃音者があせって早口で話す時に「突っかかる」こととは異なる。テレビ番組の出演者が使う「噛む」こととも異なる。成人では0.8 - 1.2%、学齢期の子供で約1.2%、5歳までの子供では約5%が吃音者であるといわれる。本人が気づいていない場合もある。吃音の程度やどもりやすい言葉や場面には個人差がある。緊張していたり朗読や電話の応対をしたりする時など、どもりやすい傾向があるとされる。しかし、一般には緊張するからどもるのではなく、どもるから緊張するのである。戦後一時期まで吃音は、精神的緊張に起因する癖であると誤って理解されてきた。それ故、吃音治療も心理療法が重視され間違った方向に進んだ。 『どもりは必ずなおせる ~子どものどもり おとなのどもり~』(婦人生活社 1983年)の著者である花沢忠一郎は、幼少の頃から吃音で苦しみ続け、独自の呼吸法や発声法などを取り入れた大人の吃音の矯正法を日本で最初に考え出し、吃音を自覚し始めたものを「大人のどもり」、吃音に無自覚なものを「子供のどもり」と定義した。子供の吃音や本人が吃音を気にする前だと治る確率も高いとされる。近年、吃音はICD-10分類の情緒障害としての吃音症だけではなく、それ以外にも色々な吃症状があり、症候群[3]であるとする見解も出てきている。 他の身体的障害や言語障害と同様に、吃音(どもり)は嘲笑やいじめの対象になる事もある。音読の授業で上手く喋れず子供の心に深い傷を負わせることも多い。吃音に絶望し自殺する者もいる。自殺しないまでもうまく言葉が話せないことに起因するうつ病、対人恐怖症、社会恐怖、引きこもりなどの二次障害が出ることもある。 時折、吃音者が吃音を意識していない時など、流暢に話せることもある。また、吃音者はどもる言葉を巧みに避け、どもらないように見せているので、傍からは吃音だと気付かれず深刻な悩みだと受け取られないこともある。吃音者が心で感じている苦痛ほど周囲の人間は気にしていなかったり楽観的に接することが多い。 吃音は自分の名前が言えない、店で注文できない、人と円滑にコミュニケーションを取れない、挨拶が出来ない、電話がかけられない、など社会生活全般に大きな影響を及ぼすが、これを「恥ずかしいこと」と認知し必死に隠そうとする傾向が強いと言われる。その為、身につける物や車種、住所、会社名等々は、自分が「言葉が出る」「言葉が出やすい」「どもらない」状況を周到に用意したり、必要な物でも言えない物は購入しないあるいは、かなり回りくどい方法で購入等、吃音者が吃音を隠すために費やす労力や神経疲弊の大きさは非吃音者にとって想像し難いものである。
引用: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

リンク

情報リンクのご利用をお待ちしています。

情報1 | 情報1 | リンク集 1 2 3 4 5